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シャインマスカットと品種改良

目次

シャインマスカットへと至る道

眩しい緑の中に実る果実、シャインマスカットはとても魅力的なぶどうだ。
当然、生まれるまでの長い「歴史」がある。

そんなシャインマスカットの歴史を振り返る前に、日本におけるブドウ栽培の歴史について見ていこう。
日本でブドウ栽培が普及し始めたのは、多くの品種が海外から導入された「明治時代」に遡る。
主にアメリカやヨーロッパからブドウがもたらされたが、
ヨーロッパ産のブドウは、雨が多く「多湿」環境の日本の気候風土には合わず、栽培は困難だった。

しかし、日本人の食に対する好奇心や貪欲さは目を見張るものがあり、
明治末期〜昭和にかけて多くの人の努力により、
ヨーロッパ産のブドウの品質の良さと、アメリカ産のブドウの栽培のしやすさを兼ね合わせた、
欧米両者の「交雑種」に関する研究が進められたのだ。

安芸津21号

こうして研究を重ねた結果、一つのブドウ品種が産声を上げる……。
シャインマスカットの直接の親となる品種、「安芸津21号」である。

品種改良を重ね特徴を増やし、日本の気候風土に適合した「スチューベン」というアメリカ系ブドウがある。
「スチューベン」は日本の気候に強いが、独特の「フォクシー香」が敬遠されるため、
その欠点を補うために、食味がよく食感も良いヨーロッパ系の「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と交雑された。

これにより誕生した「安芸津21号」は、日本の高温多湿の環境に強い品種となり、
また、お互いの良いところを兼ね備えた品種として、日本のブドウ栽培の歴史に大いなる足跡を残したのである。

白南

シャインマスカットのもう一つの親、「白南」についても触れていこう。

シャインマスカットを語る上で、おそらく一番のポイントとなるであろう「特性」──。
この特性を語る上で、「白南」の親である「カッタクルガン」の存在は欠かせない。

「カッタクルガン」はその品質の良さから、様々なブドウの交配に用いられてきた。
Hoshina Farmでも栽培している人気品種、
「ナガノパープル」の親である「リザマート」の親としても、「カッタクルガン」の特性は活かされている。

「シャインマスカット」にも引き継がれている特性である「カッタクルガン」の特徴……。
それは、種がなく、皮が薄いため丸ごと食べられるという点である。
この点は、「シャインマスカット」の真髄をつくとも言える重要な点であり、
この特性がなければ、「シャインマスカット」はブドウ界の覇権を取ることができなかったであろう。

シャインマスカットから未来へ……。

ここまで、シャインマスカットの誕生に至るまでの、品種改良について書き綴ってきた。
これからも、日本のブドウ栽培において、美味しさを求めた品種改良は進んでいくことだろう。

私達Hoshina Farmの農園でも、
シャインマスカットから生まれた、新たな品種のブドウを育てている。「クイーンルージュ」だ。

「クイーンルージュ」は、シャインマスカットと「ユニコーン」というブドウを両親に持ち、
長野県の須坂市にある「長野県果樹試験場」で産まれた品種だ。
現在は長野県でしか栽培されておらず、まだまだ世間に知られていないが、
シャインマスカットと同等の素晴らしさ、食味を持つ、未来の高級ブドウだ。
長野県では、
「シャインマスカット」「ナガノパープル」そして「クイーンルージュ」を併せて
ブドウ三姉妹(商標登録)と名付けるほどで、県内外からの注目を集めている。

このように、「シャインマスカット」から枝分かれした品種は数多くあり、
どれもブドウの未来を背負って立つ、期待の「新星」となっている。

まとめ

ブドウの品種改良について調べてきたが、新品種がこの世に誕生する確率を知って私は驚いた。
新しい品種が誕生するのは、「宝くじで一等賞を当てるより難しいのだ」と研究者は言う。
大げさだが、「砂浜の中から小さなダイヤモンドを探し当てるようなもの」だと私は感じた。

長年の先人の血と涙と汗の結晶の末この世に生まれた、ブドウ達。
私達がこの世に生を受けたのと同様に、奇跡の産物なのである。

さて、今年も「Hoshina Farm」では様々な農産物を栽培しております。
東京を始めとした全国のお客様に、農産物をお届けできる日を今か今かと思い、農作業に日々精を出しております。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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