シャインマスカットを脅かすアブラムシ
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シャインマスカットを脅かすアブラムシ
家庭菜園を営む人が、畑を眺めていたら……「ギャッ! アブラムシがいる!」
そんな体験をしたことがある人、多いのではなかろうか。
実はシャインマスカット農家も、アブラムシを始めとした各種害虫に困っている。
そして、ある1種のアブラムシが、世界のブドウ栽培を脅かしたという過去があることを、皆さんはご存知だろうか。
ブドウ栽培を滅亡させかけた「フィロキセラ」
1870年代のこと。
フランスの農園で、ワイン用ブドウの品種改良を行うべく、
アメリカ大陸産のブドウの苗が植えられた。
数年後、その農園は廃園に追い込まれた。
なぜか。
栽培していた果樹に謎の「コブ」が大量発生し、次々と枯れていったからである。
それからしばらくして、フランス各地のブドウ園で、似たような症状を見せる果樹が増大。
10年経つ頃には、フランスのブドウ栽培は滅亡の危機に瀕し、
その危機はヨーロッパ大陸各地にまで及び始めていた。
果樹の喪失により、フランスのワイン生産量は一時期、1/3を下回った。
日本でも同様のことが起きた。
明治時代、輸入されてきたブドウの木に、コブが大量発生、その後枯れてしまった。
事態はそこだけに収まらず、全国各地へ広がり、ブドウ栽培は大きなダメージを受けた。
世界中の研究者がブドウの木を調べた結果、
ある「アブラムシ」がついていることを発見した。
その名は「ブドウネアブラムシ」、またの名を「フィロキセラ」と言う。
(参考HP 長野県農業関係試験場 「ブドウネアブラムシ(果樹/ブドウ)」)
ブドウを守る方法を探せ!
ブドウネアブラムシの恐ろしいところは、
土の下にある根っこに、卵を産み付けたり幼虫が潜むため、
従来の防虫対策がことごとく効かないということだった。
ブドウを愛する国フランスでは、虫が寄生した木を引き抜き焼却するなど、
涙ぐましい努力が続けられていたが、被害は拡大するばかりであった。
ブドウネアブラムシ対策を人々は調べ、とうとう解決策を見つけた。
アメリカ大陸原産のブドウが、生まれつきアブラムシへの抵抗力を持っていることが
分かったのである。
アメリカ産のブドウを育てたり、その木に他のブドウを接ぎ木することで、
アブラムシ被害を抑えられるようになった。
日本でも、被害が特にひどかった山梨県に試験場が置かれ、
アブラムシに耐性のあるブドウの木の研究が進められた。
そして20年以上の時間をかけ、1935年に防除対策は完成を迎えた。
耐虫性のあるブドウの苗木が生まれ、全国に届けられ、
日本のブドウ栽培も危機を脱したのである。
また、過酷な環境や、そもそもブドウネアブラムシが生息していなかったことで、
被害から免れた地域もある。オーストラリアやチリが代表だ。
ブドウネアブラムシ被害から逃れるため、そういった国でのブドウ栽培も
広がっていった。
(参考HP 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会 JATAFF 「ブドウ栽培の危機を救った、フィロキセラ防除の功労者神沢恒夫」)
過去の人々の努力が、今のシャインマスカットに繋がった
何十年にも渡る血の滲むような努力の末、ブドウの木は守られた。
対策が徹底されるようになったことで、
ブドウ栽培は息を吹き返し、また新たな品種改良が行われるようになった。
ワイン用、生食用を問わず、新品種は続々と生まれている。
人々の思いが詰まったブドウ栽培の歴史。
これからもきっと続いていくことだろう。
私達「Hoshina Farm」では、
長い歴史の末に生まれた新品種、
シャインマスカット、ナガノパープル、クイーンルージュを育てています。
様々な病気や害虫への対策も欠かさず行い、今年も豊作を目指しています。
東京を始めとする全国各地、離島にもお届け可能です。
歴史と甘味がぎゅっと詰まったブドウの味わいを、お楽しみください。
ここまでブログを読んでくださり、ありがとうございます。
ブドウに関する様々な記事を、これからも更新していく予定です。