BLOG ブログ

ブログ

獣害からシャインマスカットを守る術とは?

目次

狙われたシャインマスカット

甘くて美味しいシャインマスカット。
高貴な香りを放つこのフルーツに、我々は夢中になっている。
だが、甘さと香りに惹かれているのは人間だけではない。
様々な動物達が、シャインマスカットを狙っているのだ。
「収穫前の果実が食べられてしまった」という被害は毎年報告されている。

農産・林業全体の話となるが、
長野県では平成30年度、野生鳥獣による被害額が「7億9千万円」にもなった。
最大であったのは平成3年の「30億円」。
その後、対策が進み、令和2年では「7億4千万円」となったが、
いまだ予断を許さない状況である。

被害拡大の要因として、
里山における広葉樹林(動物達の餌となる木の実をつける)の成長や、
木の実や農作物という豊富な餌を元とした繁殖、
耕作放棄地の拡大、野生鳥獣を捕獲する人材の不足・高齢化が考えられる。

農産・林業に被害をもたらしている動物は、
主にニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマ、ニホンザルとなっているが、
シャインマスカットに注目すると、また別の動物が名前に上がってくる。

地上からの獣

6月頃、シャインマスカットは一房一房手作業で袋がけする。
理由はいくつかあり、
綺麗に熟すようにするため、
病気・害虫から実を守るため、がある。

だが、その大切な袋を破り、育った果実をガブリとかじってくる動物がいる。
「タヌキ」、「ハクビシン」だ。

タヌキについてはご存じの方も多いだろう。
日本を含む極東に生息する、夜行性の4本足の動物。
現在は持ち込まれたヨーロッパでも繁殖し、生息する地域を広げている。
雑食性で、木にも登り果物へ被害を与える。

ハクビシンは、額から顔の中心線にかけて白い模様が現れることから、
そう名付けられたと言われている。
中国大陸南部、東南アジア、南アジア、台湾、日本に住む動物で、
タヌキと同じく雑食性。
果物や野菜を好み、畑や果樹園に現れては作物を食害する。

特にハクビシンは、狭いところも通り抜けられる体の柔軟性を持っているので、
網や柵の隙間を掻い潜られ、実をかじられる、といった被害も報告されている。

空からの獣

様々な種類の作物に被害を与えているのが「カラス」だ。
シャインマスカットも例外なく狙われている。
鳥としては大型の部類に入るカラスは、ブドウにかけられた袋を
鋭いくちばしで破り、その中身を食い荒らす。

日本では、「ハシボソガラス」「ハシブトガラス」の2種が
よく見かけるカラスとなり、近年、個体数増加が問題視されている。

長野県では、令和2年の秋から冬にかけて、カラスの生育状況と被害状況の
調査が行われた。
その結果、カラスがねぐらとしている建物や樹林が判明し、
個体数は40年前の2倍近くになっていることが分かった。

カラス達は年間を通じて生息し、ゴミを漁り被害を発生させている他、
秋にはリンゴやブドウ園に飛来し、収穫前の果実を食べ散らかしている。
冬は、農園に捨て置かれた作物や生ゴミを餌として生活し、大集団を形成、
時には1万羽を超える群れで空を飛んでいる。

他に、空から被害を与えてくる動物として、素早く木々の間を移動する
「ニホンザル」も問題となっている。
日本全国で猿被害は話題となっているが、長野県でも個体数が増加、
農作物への食害以外にも、「襲われて怪我をした」という人的被害も報告されてきている。
集団で移動し、知能が高い猿は、従来の侵入妨害柵の効果が薄く、
猿の人間への警戒心低下も相まって、大きな問題となっている。

シャインマスカットを守る術は?

鳥獣が現れ、作物を食い荒らしているという現状は、実は動物のためにもならない。
簡単な餌のとり方を覚えてしまったせいで、無秩序に繁殖してしまい、
餌が足りなくなり、また別の地域を荒らすという負のループに陥ってしまうからだ。
また、イノシシ、クマといった中型・大型の動物が畑に降りてくるようになれば、
将来的には町中まで進出し、人的被害を起こすことも考えられる。

シャインマスカットを、農作物を守るにはどうすればいいのだろうか?

まず、餌を与えないことがあらゆる対策の基本となる。
生ゴミはネットで覆い、未収穫の農作物を回収し土に埋めるなどして、
動物達の手から遠ざけてやらねばならない。

地上からやってくる鳥獣に対しては、電気柵が一つの手として考えられる。
動物が柵に触れた際、電気で刺激を感じれば、「ここに来ると痛い思いをする」
と動物は学習し、畑には近づかなくなる。
柵は、畑や果樹園周辺に隙間なく設置し、防ぎたい動物の体高にあった
高さに合わせることが大切だ。
土曜日・日曜日という終日まで含めて柵に通電することで、動物への学習効果を高めることができる。

空からやってくる鳥獣に対しては、
防鳥ネットや、畑上空にテグス、ワイヤーを張り巡らせることも対抗策として
有効である。
1m間隔で張り、侵入しようとするカラスの羽に当たるようにすれば、
カラスは当たる感触を嫌がり去っていく。

猿に関しては、防護柵やネットも効果的であるが、
現在、『追い払い』の徹底が一つの策として考えられている。
猿出現時、男性を中心とした大勢のグループで出動し、
大声やロケット花火などで猿を威嚇、姿が見えなくなるまで追い払う。
そうすることで、猿は人間に対する警戒心を強める。

なお、ロケット花火に関しては、延焼や怪我の防止などの安全確保が重要となってくるため、
気をつけて使用してほしい。

シャインマスカットや他のブドウに関しては、
農林水産省が、多数の果実を保護できる「果実保護ネット」を開発した。
ファスナーによりネットの開け締めも簡単で、取り付け時間も短く済み、
鳥獣被害を数%にまで抑えることができたと報告されている。
電気柵に変わる新たな対策として、有効になってくるかもしれない。

農林水産省を始めとして、多くの団体が鳥獣対策に乗り出している。
従来の方法と新しいテクノロジーを組み合わせて、被害を抑えていきたいものだ。

これからもシャインマスカットを楽しんでいくために

シャインマスカットは、狙われている。
タヌキにハクビシンにカラスにサルに、数多くの動物達に。
全国の農家は動物達からシャインマスカットを守っているし、私達も様々な対策を行っている。

適切な対抗策を用いていくことで、動物と人間の住む世界を分け、
これからも美味しいシャインマスカットを食べられるようにしたいものだ。

私達『Hoshina Farm』は、美味しいシャインマスカットの
収穫を目指して、日々努力を重ねています。

SHARE

ブログ一覧