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追熟する果物、しない果物

目次

そもそも追熟って?

果物は見た目も美しく栄養価も高く、私達の生活を豊かにしてくれる食べ物だ。
そんな果物達だが、大きく2種類に分けることができる。
追熟するもの、しないものだ。

そもそも、「追熟」とはなんだろう?

一部の果物は、収穫後、適切な温度や環境下で置いておくと
「エチレンガス」という植物性ホルモンが発生し、
甘味が増して、柔らかくなり、香りも良くなる。
(アボカドでは、甘味ではなく脂肪分が増える)
この一連の流れが「追熟」と呼ばれている。古代エジプト人も知っていたそうだ。

しかし全ての果物に起こることではなく、するものと、しないものがある。

追熟する果物

追熟する果物は、バナナ、マンゴー、メロン、アボカド、キウイフルーツ、
桃、西洋梨などがある。

これらの果実を収穫後、
15〜20℃の室温、直射日光の当たらない風通しの良い場所に置いておくと、
追熟を始める。
追熟の際、見た目に変化を表す果物もある。バナナの表皮に浮かぶ黒いポツポツ、
通称「シュガースポット」はご存じの方もいるだろう。

見た目以外にも、感触に変化が起きる果物もある。
桃やメロンであれば、側面や底部が柔らかくなる。

だが、気をつけなければいけないのが、保管する温度である。
バナナやマンゴー、アボカドといった果物を10℃以下の環境に置くと
「低温障害」を引き起こし、表面が陥没、変色したり、水分が染み出してくる。
南国産の果物は低温障害を起こしやすいので、どうしても冷やしたい場合は
追熟を終えた後、食べる直前にしよう。

追熟しない果物

追熟しない果物は、リンゴ、イチゴ、スイカ、パイナップル、ブドウ、日本梨などがある。
実っている間しか甘味を蓄えないので、収穫後、常温で保存しておいたとしても、
糖度が増すということはない。

収穫をわざと遅らせ、甘味をぎりぎりまで増やす農家もいれば、
実の熟し過ぎによる軟化、それによる実の壊れなどを防ぐため、
期日通りに収穫し、流通に乗せる農家もいる。

追熟しない果物の良い点として、収穫後の変化が少ないということが挙げられる。
産地から小売店までの流通・運搬の間、品質を保つことは簡単だ。
特にシャインマスカットは、流通面も考えて品種改良されたブドウなので、
運んでいる際の劣化や、枝から粒が外れるといったことも少ない。

低温障害を引き起こさない果物も多いので、
家庭で冷蔵したり冷凍したりと、購入後長い間楽しむことができる。

なぜ「追熟」が生まれたのか

どうして果物というものは、追熟するものとしないものに、進化の過程で分かれたのだろう?
実はそれには、私達を含めた動物達が深く関わっている。

植物が果物を実らせる理由。
それは、「動物に食べさせることで、中にある種を運んでもらうため」だ。
種は消化されないので、動物達の糞に残り、そこから芽を出していく。
果物は、植物の優れた生存戦略の一つなのである。

植物は動物達にアピールするため、実に甘味を蓄えたり、
良い香りを放ったり、色付けたりしている。

さて、果物を食べ、種を運んでいる動物達にも様々な種類がいる。
食べ物を、地上を徘徊して探しているもの達。
私達人間のご先祖、猿のように、木の上を渡り歩きながら食べ物を探したり、
鳥やコウモリなど、空から探しているもの達。

種の運搬役である動物達は、大きく2種類に分けることができる。
そう、「2種類」。
果物も「2種類」に分けることができたはずだ。

追熟する、しない果物がある理由は、
「食べてもらいたい動物」の違いなのだと、現在は考えられている。

追熟する果物は、木から地面に落ち、長い期間を経て美味しくなることで、
地上生活型の生き物に食べてもらいやすくなる。

追熟しない果物は、木の上で美味しくなり続けることで、
高いところで生活する動物に食べてもらいやすくなる。

果物達は巧みに進化することで、生息地域を広げ続けているのだ。

どちらにも良い面がある

追熟する果物はよくメディアなどで取り上げられる印象はあるが、
「追熟しない」といったことも、同じくらい大切なのだと私は思う。

どちらの果物にも良い面がある。
追熟する果物は、その過程を楽しむことができるし、
追熟しない果物は、品質を一定に保ちやすく、長い間楽しむことができる。
これらの性質を心に留め、様々な果物を楽しんでいこう。

私達「Hoshina Farm」でも、今年のブドウ栽培が本格化してきました。
様々な作業が始まり、夏頃の収穫・出荷に向けて頑張っています。

シャインマスカット、ナガノパープル、クイーンルージュの3品種のブドウは
追熟しない果物。
毎年適した時期に収穫し、甘味や品質を確かめながら、
全国津々浦々、東京、沖縄といった場所に新鮮なものをお届けしています。
冷蔵・冷凍もできるブドウ達を、今年も是非お楽しみください。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
これからも、皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと思います。

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