『ジベレリン』って、何?
目次
気になるあの言葉の正体は?!
シャインマスカットやナガノパープルなど、最近人気の「種無しぶどう」。
それについて調べてみると、必ずといっていいほど出てくる言葉が「ジベレリン」だ。
「このぶどうにはジベレリン処理が施されています」や、「ジベレリンで食べやすく!」などといった
文章はよく見るけれど、「それ」が一体何なのかについて、知らない方も多いのではないか?
今回はそんな「ジベレリン」に着目してみよう。
ずばり正体を言ってしまえば、ジベレリンとは植物が体内に持つホルモンの一つだ。
人間が女性ホルモンや男性ホルモンを持っているように、植物達も自分達の体の仕組みを調整するホルモンを持っている。
ジベレリンは、1926年に日本人化学者の「黒沢栄一」によって発見され、その後、
1935年「 藪田貞治郎」によって取り出され、その後1938年、 藪田貞治郎と「住木諭介」との共同研究により結晶化された。
様々な日本人化学者の研究によって、ジベレリンは単独で使えるようになった。
実に100年近い歴史を持つ物質なのである。
ジベレリンの発見が、日本の農業に大きな変化をもたらすことになる。
ジベレリンが持つ、たくさんの力
この物質は日本や海外の研究者によって調べられ、実に多くの力を持っていることが分かった。
主に4つの力があることが知られている。
・植物の成長促進(幹を長くしたり、枝を太くしたり)
・種子の休眠(活動が停止していること)を破り、発芽を促進する作用
・花と芽の形成や、開花の促進
・単為結実促進(実の中に種を作ることなく、果実を大きくする力)
上記の力は作物の栽培にとても役立つため、1964年には安全性を確かめた上で農薬として登録された。
みかんを代表とした柑橘類、いちご、ぶどう、じゃがいもといったメジャーな農作物にもジベレリンは使われている。
観賞用の草花の成長促進・開花促進に使われていることもある。
ジベレリンは様々なところで、私達の生活を支えてくれているのだ。
シャインマスカットとジベレリンの関係
1950年代、日本や海外でジベレリンを使ったぶどうの栽培実験が行われるようになり、
その結果、種を中に持たない状態でぶどうの実を大きくさせる方法が見つかった。
「種無しぶどう」の発見だ。
その後、「巨峰」の販売から始まった大粒ぶどうブームの流れも組み、「種無しで大粒」のぶどう研究が進められた。
18年の年月をかけ、出来上がったのが「種無しで大粒」のシャインマスカットだ。
香りよく、果汁たっぷり、皮ごとぱりっと食べられてなおかつ種無しというのが嬉しいシャインマスカットだが、
それらの特徴はジベレリンの力なくしては始まらない。
ぶどうの花が満開となる6月頃、農家の方々は「ジベレリン処理」を開始する。
鈴なりとなった花(花穂と言う)の形を三角錐状に整え、ジベレリンを溶かした溶液に
一房ずつ浸していくのだ。この浸す過程が「ジベレリン処理」と呼ばれている。
1回目の処理から少し日を開けて2回目と、全ての花に対し手作業で行っていく。
非常に手間のかかるが、こうすることで、種が作られるのを防ぎ、あのおなじみの大きな実を
付けさせることができるのだ。
その後も様々な手間ひまをかけてぶどうを大きく育て、8〜9月頃に収穫。皆様の元へ届けられる。
収穫時までにジベレリンは雨風によって洗い流されているので、残留農薬は殆ど無いと言われている。
食べる直前に砂や埃を払うために軽く洗ってから、あのシャインマスカット特有の食感と果汁を味わってほしい。
そして私達とジベレリン
私達「Hoshina Farm」でも、今年のシャインマスカットの栽培が始まった。
剪定や土作りを行い、秋の収穫に向けての下準備を行っている。
また、シャインマスカット以外にも「ナガノパープル」といった
信州独自の品種の栽培も手掛けており、こちらもジベレリン処理により、
種無しで大粒、皮ごと食べられる紫の濃厚な果実で、人気を集め始めている。
去年は大豊作となり、東京を始めとした全国各地、時には離島まで発送を行った。
手間ひまかけた作物を、今年も多くの方にご購入していただければ幸いである。
ここまで読んでいただき、ありがたく感じています。
これからもこのブログで、皆様にとって益のある情報を発信していきたいです。